ポッター教育研究所

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学級経営力か授業力か

学級経営力と授業力、先に磨くべきはどちらか。

 

 

ネットでもしばしば目にする話題である。

 

どちらも大切だということは百も承知。

 

それでも、特に経験の少ない先生は、時間的・体力的に限られた時間の中で喫緊の課題はどちらなのか知りたいのだと思う。

 

 

もちろん、唯一の正解がある問題ではないが、僕の中でははっきりと答えが決まっている。

 

 

 

先に磨くべきなのは

『学級経営力』。

 

 

その根拠は、どちらを磨くことでより高みにいけるかという考え方ではなく、どちらが足りないことが、よりリスクになるかという考え方にある。

 

 

これまでの僕の経験の中で、自分も含め色々な教師を見てきたが、小学校教師として一番苦しい状況は、とにかく学級経営がうまくいっていない場合である。

 

授業が成立せず、時には子どもから暴言暴力を浴びることもある。そして一番キツいのは、クラスで起こったトラブルの対応で放課後の時間を削られていくこと。

 

放課後の時間が削られることで、心身が疲れるとともに明日以降の準備もできず、負のループに陥る。こうなると、結局持っている授業力も発揮できなくなるのだ。

 

これだけは避けたいのである。

 

そうならないための方法についてはまたの機会で触れるとして、僕が「先に」磨くべきなのは学級経営力だと思う理由はこういうことである。

 

 

授業力のイメージは「武器」。

色々な武器を、そして強力な武器を持てば持つほど強くなれる。

 

それに対して学級経営力のイメージは「自力」。

 

どんなに強力な武器を持っていても、自力が無ければ操れない。

 

さらには、日々の子ども達との勝負の中では、持っている武器をも手放して、あえて素手で勝負しないといけない瞬間もある。

 

長い教師人生で自分の身を守っていくために、まずこの「自力」をつけることが大切だと思うのである。

 

 

学級経営力のおもしろいところは、人によって力のつけ方・勝負の仕方が違っていいという点である。

 

極端に言えば、とにかくクラスが崩れなければ、どんな方法でもいい。自分に合ったやり方でそれぞれの教師が勝負すればいい。逆に言うと、自分に合うやり方を見つけなければならない。

 

僕の感覚では、5年程度・初任校に勤務している間くらいで、ひとまずの自分の学級経営のベースができればいいんではないかと思っている。

 

その時(特に経験が浅い時)に、僕がこだわった方がいいと思うのが、「普遍性」である。

 

その指導・学級経営は、どの学校・学年・子どもにも通用するのかということ。

 

もちろんまずはじめは、目の前の子ども達に対してどのように関わるのが良いかを必死に考えるわけだが、その先には、その指導には普遍性があるのかを常に考えておく必要があると思うのである。

 

経験がない場合は想像するしかないわけだが、想像だけでもしておく方がいい。

 

この指導は他の学年の子にも通用するのか?

他のタイプの子にも通用するのか?

または子どもが変わった場合にやり方を変えて対応するならどう変えるのか?

 

 

 

なぜこの「普遍性」にこだわるかというと、学級経営において、やり方が全く分からないことで苦労するパターンもあるが、意外にも、より傷が深いのは、以前持った学年でうまくいった指導が他の学年で通用せず苦労するパターンだからだ。

 

ここには、「前はうまくいった!」という教師の思考の硬さやプライドが絡まってしまっている。

 

このこけ方をしないために、うまくいっている時こそ普遍性を意識することが大切だと思うわけである。

 

 

 

 

 

基本的に学級経営は終わりなき旅。

 

僕だって偉そうにこんな事を書いているが、当然まだまだであって、学級担任をしている限り、永遠にレベルアップしていかなければならない。

 

でも、とりあえずこれだけを自分なりにおさえておけば、どんな学校・学年・子どもが相手であっても最低限耐えられるという学級経営のベースは、何よりも優先してつかみにいくべきと思う。

 

 

その中で、余力がある時にジワジワと授業力もつけていけたらベストだと思う。