ポッター教育研究所

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小学校教師の仕事の半分は特別支援

僕はまだ特別支援学級の担任を経験したことはない。

 

しかし、これまで小学校の学級担任として働く中で感じた特別支援的なスキルの重要性は、思った以上であった。

 

専科として授業を担当する場合にももちろん当てはまるが、特に学級経営をしていく上では欠かせないスキルだと思う。

 

その理由を大きく3つに分けて紹介する。

 

 

 

1 特別支援は土台

僕が特別支援のスキルが大切だと思う最も大きな理由はこれである。

 

特別支援は土台だと強く強く感じるのだ。

 

知識がすごく豊富なこと・やる気に満ち溢れていること・おもしろいこと、様々な能力や個性が、味や武器として生きてくるのが教師という仕事のおもしろさである。

 

しかしそれらは、特別支援という土台の上に立つものである。

 

どんなに能力があっても、特別支援という土台が無ければ、威力が半減、時には全く生きてこないということが起こる。

 

 

例えば、理科についてすごく詳しくて、知識や道具を豊富にもっている教師がいたとする。

 

大きな武器である。

 

しかし、特別支援的なスキルが欠けていると、様々な子がいるクラス全体を動かすための、適切な指示や配慮ができないことにつながる。

 

そうなると、思うように実験を進められなくなる。

そうなると、もっている知識や道具を生かす土俵にも立てないのだ。

 

 

これまでに、こんな場面を何度も見てきた。

 

 

どんな能力や個性も、教師をしていく上で武器になり得るし、貴重である。

 

しかし、それらの関係は並列ではない場合がある。

 

特別支援の知識やスキルは、他の土台になる。

 

他の能力や個性を生かすためにも、優先的(早め)に身につけるのが良いと思う。

 

2 分かる授業の基本

授業を考える際に、色々な子への配慮を講じることが今の時代では求められている。

 

もちろん、目の前にいる子どもによってその配慮は変わってくるが、一般的な特別支援のスキルや知識はその基本となる。

 

特別支援的なスキルが散りばめられた授業は、みんなにとって分かりやすく心地よいものになる。

 

 

 

3 気になる行動の根本は、たいてい特支絡み

学校生活を送る中で、子どもの問題行動や気になる行動があった時に、その行動に「悪気」があるのか無いのかを判断することは、教師として重要な作業である。

 

 

悪気がある場合は単純である。

問答無用で指導すればよい。

子どもも悪気があることを理解していれば、改善するだろう。

簡単に言えば、精神論的に解決する。

 

 

問題は、悪気が無い場合である。

その場合は、やる気の問題ではないので、何らかの支援や手立てが必要になる。

そしてここが教師の出番である。

 

 

この選別作業は、かなり慎重に行う必要があるし、時には一つの行動の中にも、ここまでは悪気あり・でもここからは悪気無しということもある。

(ちなみに教師との信頼関係が崩壊しているとか、学級崩壊を起こしている等、環境要因が大きすぎる場合はこの作業自体がほぼ不可能)

 

僕がこれまで関わってきた子ども達の(「一般的」を超えるような)問題行動を分析して、些細なことを削ぎ落としていくと、たいてい根本には特支的な弱点があった。

 

「特支的」というのは、具体的な診断名がつくとかそういう話ではなくて、

悪気が無く自分ではどうしようもない=特別な支援を必要としている

ということである。

 

 

自分の中で少し意外だったのは、いわゆる「やんちゃ系」の子どもである。

 

行動だけを見ると、まさに「やんちゃ」で、教師からすると悪気があるように見える。

 

「やんちゃ系」と「特支系」は全く違うものだと思っていた。

 

しかし、その行動の根本を探ると、自分ではどうしようもないその子の弱点に当たった。

 

例えばメタ認知力の大きな不足や、先のことを考える力の大きな不足などである。

 

そうなると、教師がするべきことは、厳しく指導するとか、毅然とした態度で接するとか、そういうレベルの話では無くなる。

 

その子に必要な具体的な支援や手立てを打ってやることである。

 

 

 

こういった生活指導の場合も、もちろん子どもによって取るべき支援や手立ては変わってくる。

しかし、基本となるのはやはり一般的な特別支援のスキルや知識である。

 

 

この選別作業と、その後の支援や手立てを適切に行うことがプロの仕事だと思う。

 

「怖くする」指導など、その辺の怖いおじさんやおばさんにでもできるのだ。

 

 

 

まとめ

職員室で子どもの文句を聞くことはよくあるが、特別支援の知識があればあるほど、子どもに腹が立つということが無くなっていく。

 

授業にしろ、学級経営にしろ、思い通りにいかないのは自分のアセスメント不足や手立て不足だと分かるからである。

 

授業や学級経営がうまくいかずに悩んでいる時には、授業や学級経営のスキル本もいいが、僕は特別支援の勉強をしてみることをおすすめする。