ポッター教育研究所

教育・子育て・人間の能力に興味があります。twitterよりもdeepな内容をdeepな仲間とシェアするためのブログ。

2020年の予言

こんな文章に誰が興味があるのかと言われたら返す言葉もありませんが、とりあえず2020年の1月にこういうことを考えていたという証拠を残すために書きます。

教育について、これからの10年程で起こるだろうと思っていることです。

 

社会の流れ

今の社会の流れで教育に大きな影響を及ぼすだろうと考えているものが4つあります。それは

核家族

②情報化

③学校の権威の低下

④共働きの広がり

です。

 

この流れはこれからの10年も止まることはなく、おそらくは今よりも進むと思われます。その結果、今どのような状態であり、これからどのような未来が見えるのか、、。

 

家庭独自の文化

まず核家族化が進むことによって、各家庭独自の文化が育ちやすい環境になっています。正確には家庭(親)独自の文化です。親がしようとしていることに対して口出しをしてくる祖父母も近くにいない・近所づきあいや近所からの目というものにも縛られにくい等の理由からです。

これまでは、思っていることやしたいことがあっても、親戚や近所のしがらみのせいでなかなか動けないことが多かったはずですが、今は比較的軽やかに動くことができます。

そして、そこに拍車をかけているのが情報化です。自分達で頑張ろうにも、分からなければ親に聞くしかなかったことが、今はネットを開けばほとんど解決します(した気になっていることも、、)。

我が家でも、妻がネットで得られる育児情報の多さに驚いています。

 

これらの要因から、今はこれまでに比べてかなり家庭独自の文化が育ちやすい環境にあると言えます。

 

そして、この流れは学校と保護者の関係にも影響を与えています。

 

学校の権威の低下

各家庭独自の文化が育っていくに伴って、学校へこのような注文が増えています。

それは、

「〜してほしい。」「〜させてほしい。」

ではなく

「〜をやめてほしい。」「〜させないでほしい。」

というものです。

 

従来の学校の画一的・管理的な指導が家庭独自の教育方針とマッチせず、余計なことをしないでほしいという要望が増えているのです。

 

このような注文は、僕のように子どもの躾や考え方にまで深く干渉したくない(しないべき)と考えるタイプの教師の思いや働き方改革の流れとも合わさって、今どんどんと学校現場を動かしています。

 

保護者から要望があった場合には学校は必ず何らかの対応をしないといけないという「合理的配慮」が義務付けられたことや、子どもを長時間縛る行事や部活の縮小等です。

 

さらに、情報化によって保護者も様々な情報を手に入れられるようになっていて、学校の指導が全てという風潮はもう完全に消えています。

 

こういった流れによって、学校の権威が低下するとともに、学校の、子どものために頑張るかわりに何をしても大抵許されていた従来のスタイルが、ミスはないように気をつけるかわりに必要以上のことはしないというビジネスライクなスタイルに変化しつつあります。

 

家庭の教育力

ここまで書いてきたことを見ると、いい流れだなと感じるかもしれません。

しかし、それは親に教育力があればです。

 

親戚や他人からあまり干渉されることなく子育てをすることができ、学校も子どもを縛ることを減らしていくということは、親が占めるウエイトがかなり大きくなるということです。

 

ここで僕が問題だと感じていることは、共働きの広がりです。

もちろんみんなが自分のキャリアを磨き続けることは素敵だと思うし、子育てだけが生きがいになることも危険だとは思います。

しかし、それが重視されるあまり、子育てが省エネになりすぎているのではないかと感じるのです。

 

ちなみに僕は、授乳以外は父親でもできるので授乳期間が終われば父でも母でもどちらでもいいと思っていますが、もう少し親が自分の子どもと同じ時間を過ごすということを意識するべきだと感じています。

 

確かにどこかに預けてプロに見ていてもらえば、安全に、体や何らかのスキルは育ててもらえるかもしれません。しかし、親しか満たしてあげられない情緒面のパーツがあるのです。どんな種類のパーツがあるのかということはここで書くと長くなりすぎるので今回は省きますが、大切なことは、お金ではなく、とにかく時間をかけるということです。

 

時間をかけるということをおろそかにすると、いざ子どもにピンチが訪れた時に、それに気づいてあげられなかったり、適切に対応してあげられなかったりすることにつながります。

 

共働きが絶対にダメだというわけではないし、共働きではなくても家の事情で忙しい親御さんもいると思います。大切なのは子どもとの時間がしっかり取れているかを意識することです。「今の社会の流れだから」という理由で当たり前のように子どもとの時間を切り捨てて、切り捨てた物の大きさを意識すらしていないのは危険だと思うのです。

 

そして、困ったとしても、祖父母も、学校ももう離れているのです。

 

予言

ここまで書いてきたことを踏まえて、これからの10年ほどで教育について起こるだろうと思っていることをまとめると、

・学校の更なるビジネスライク化

・子育て相談業務系企業の増加

・情緒不安定系事件の増加

です。

 

学校の更なるビジネスライク化は僕のようなタイプの教師からしたらまさにwin-winです。躾や考え方というようなものは親が考えて育てるべきものだと思うし、そもそも教師にそんなものを強制する権利はないと思っています。今の様子を見ていると、この流れは止まりそうにないので僕は喜んでいます。

 

しかし、子どもと十分な時間を過ごしていない親が子育てで悩むことが頻発するのは目に見えています。これまでなら親に専門的な知識がなくても、親戚や近所の人の姿を見たり、アドバイスをもらったりして乗り越えたのでしょうが、その当てもありません。学校も定時を過ぎたら留守番電話です。

 

そこで、親が子育ての相談をしたり、勉強して教育の専門知識を得たりするための企業が増えていくと思います。学校現場に嫌気がさして辞めたいと思っている多くの教師の受け皿にもなるでしょう。これからの子育ては、自由と引き換えに重課金コンテンツになるというのが僕の予想です。

 

そして僕が最も恐れているのは、上でも書いた「パーツ」の抜けによって、自己肯定感や愛着形成に問題がある人が増えて情緒不安定系の事件が増えることです。具体的に言うと、「誰でもよかった」系の事件です。

 

これに関しては、自分たちが人の恨みを買うようなことをしていなくても巻き込まれるので恐ろしいとしか言いようがありません。

 

これを踏まえて、これからの時代に教師が、親が、何をしていくべきなのかということはまたの機会に考えるとして、これが僕の2020年の予言です。10年後に当たってたら僕を思い出してくださいね。( ̄▽ ̄)