ポッター教育研究所

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外国語専科として見えた光

前回の記事では、外国語専科として1学期間働いて、悩んだことをまとめた。

 

悩むことが多い1学期であったが、今後に向けて希望が持てるなと感じたこと・分かったこともいくつかあった。

 

今回はそちらを紹介しようと思う。

 

 

 

①子ども達は案外友達との英語でのコミュニケーションを楽しんでいる

これは僕にとって、この1学期で1番大きな(意外な)収穫であった。

 

僕はなまじっか英語教育について勉強してきたものだから、妙なところで考え過ぎてしまうところがあって、1番引っかかっているのが必然性についてである。

 

小学校英語について、端的に言うと

「クラスの友達とのコミュニケーションが大切と言うけれど、それなら日本語でやればよくない?英語教育を無理矢理導入するための言いがかりじゃない?」

 

と思っているのである。

 

そして子ども達も、クラスの友達(日本語でのやり取りが可能な相手)と英語でやり取りすることに対して、胡散臭さや必要感の無さをガンガンに感じるのではないかと思っていた。

 

しかし、予想に反して、子ども達はけっこう友達との英語でのコミュニケーションを楽しんでいたのである。

 

実際に見た感じでも楽しそうな瞬間がたくさんあったし、振り返りにも

「〜さんの好きなものが分かってうれしかった。」

「普段喋らない人と話せて良かった。」

というような記述がたくさんあった。

 

 

これは嬉しい誤算であった。

 

 

もちろん僕自身の必然性へのこだわりが消えることは無いが、それでも今のところ授業の中心となる「クラスの友達とのコミュニケーション」を子ども達が楽しいと感じるのかどうかは、授業者としては大きいことである。

 

何とか「話したくなる」「聞きたくなる」場の設定を作ることができたら、子ども達の楽しい時間を増やせるのだと感じた。

 

 

 

NHK for schoolが有能

他力本願系で申し訳ないが、本当なのである。

 

これまでNHK for schoolの外国語の番組を使ったことは無かったのだが、他教科と同じく、かなり有能であった。

 

10分の有能な教材があるという安心感を教師側がもらえることに加えて、実際に外国人と英語でやり取りしている場面や外国の様子を映像で見るということは、授業の中でなかなか体験させてやれない部分である。

 

それを、各学年の学習内容に合わせて10分でいい感じにまとめてくれているNHKには改めて感謝した1学期であった。

 

 

 

③発達段階とフィットする活動が少し掴めた

今年度は幸運なことに、3〜6年生すべての学年で授業をさせてもらえている。

 

そのことによって、一度に各学年での反応を見ることができている。

 

 

新指導要領の改訂に際して、改めて

「言語活動」の重要性がすごく強調された。

 

「本当に思っていること・考えていること」を伝え合うのが大切ということである。

 

これについては、本当にどの学年でもその威力を感じた。

 

自分の本当の思いを伝え、相手の本当の思いを聞くというのはやはり魅力的な活動ということである。

 

これは序盤で分かったので、機械的or自分の本当の思いが乗らない反復練習はできるだけ少なくして、大きなアクティビティはもちろん、練習すらも言語活動になるように考えた。

 

そこに、良い感じにゲーム性を加えることができたら子ども達はすごくノってきた(相手からYes, I do.がもらえたら座りましょう。とか共通点を見つけることができたら座りましょう。とか)。

 

 

学年によって差が出たのは、ゲームの形である。

 

自分の本当の思いを伝える要素を入れることは前提として、それでもゲーム内のルールを楽しむ系(ビンゴとか好きな物ランキング当てとか)のゲームは、やはり中学年向けであった。

 

中学年ですごく盛り上がったものだから高学年でもやってみたら驚くほど盛り上がらなくて冷や汗をかいた。笑

 

高学年は、ゲームの中のルールというよりは英語そのもの、外国語学習そのものの魅力に迫るようなゲームで盛り上がった(全員起立して質問に答えられた人の縦列か横列の人が座れるゲームとかお題を見ていない一人にクラス全員で英語だけでヒントを出して当ててもらうゲームとか)。

 

もちろん個人差はあるだろうが、もう今後は中学年と高学年でスパッと分けようかなと思っている。

 

 

あとそれに関わってくることでもあるが、対話をさせる相手の作り方も違いが出た。

 

ペアはどちらでも多用するが、自由に教室を動き回ってペアを見つけるスタイルは中学年向き。列をずらして機械的にペアを作るスタイルは高学年向きである。

 

4年生は交ぜながらやっていこうかなという感じである。

 

 

こんな感じで、発達段階による違いや共通点を掴めたのは収穫であった。

 

 

 

④単元計画が肝心

これは他教科でも同じだし分かっていたことであったが、改めて感じたことである。

 

というのも、Unitでスパッと分かれているLet's Tryは考えやすかったのだが、Crown Jrの方はLessonというものは存在しつつも、1学期を大単元とするというというような特殊な構成になっていた。

 

その扱いをどうするかに苦慮したわけだが、やはり教師側がそこで迷子になっていると授業にもキレがなくなった。

 

実際にどういう形で料理するかはまたこれから考えないといけないのだが、やはり教師側が学期全体、Lessonごとのゴールやイメージを明確に持っておくことが良い授業の肝になる。

 

Crown Jrは考えにくいのだが、それでも何とか自分なりの構成を作り上げて2学期3学期を迎えることが大切だと感じた。

 

 

 

そんな感じで、基本悩みながら、少し掴んだ手応えもあった1学期。

 

その全てを生かして夏休みに作戦を練ろうと思う。