ポッター教育研究所

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来年度からの小学校外国語科の評価

先日のセミナーで文科省の方の話を聞く機会があった。

 

正直来年度からの小学校外国語、特に5.6年生で新たに教科となる「外国語科」は現場で混乱を起こして、少なくとも来年度は「つぶれる」と思っていた。

 

今まで小学校教師がしたことのない、外国語の数値での評価が入ってくることに現場が混乱すると思ったからである。

 

何度も言うことを変えてきた文科省も、さすがに言うことを変えられない時期に入っただろうということで、どんな形で「つぶれる」のか聞いておこう。

 

というような超後ろ向きな気持ちで参加したのである。

 

しかし、話を聞くと

ちゃんと文科省の言っている話を理解して進めれば、意外と無理なく評価もできるんではないかと感じた。

 

 

 

 

意外にも。

 

 

可能性を感じちゃった。

 

 

 

 

ということで、ブログで共有させていただく。

 

 

 

 

①3観点5領域

②記録に残す評価

③発音について

 

 

 

 

①3観点5領域

 

まずはお馴染みのこの要素を確認しておく必要がある。

 

来年度から全教科が3観点で評価をとることになる。

●個別の知識・技能

●思考力・判断力・表現力等

●主体的に学習に取り組む態度

の3観点である。

(これによる混乱も250%起きると考えられるが、これは外国語に限った話ではないので今回はパス)

 

 

 

外国語科はそこに

●聞くこと

●読むこと

●話すこと(やり取り)

●話すこと(発表)

●書くこと

の5領域が入ってくる。

 

つまり、この5領域を3観点でみる、

3×5の15マスの表があるイメージである。

 

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このマスに評価を埋めていくのである。

 

 

 

 

 

②記録に残す評価

 

文科省の方が話の中で強調されていたのは、この「記録に残す評価」という言葉である。

 

 

僕たち教師は、授業する中で必ず評価を行なっている。

パフォーマンスを見て確認したり、ふりかえりを読んだりすることなどによってである。

そして、その評価に基づいてアドバイスをしたり授業を考えたりするのである。

 

 

しかし、その評価を全て紙に書いたり、名簿にチェックしたりして記録に残しているわけではない。

 

これは「記録に残さない評価」である。

決して評価を全くしていないわけではないが、記録には残していない。

 

しかし、成績をつけるためには、「記録に残す評価」をどこかではとらないといけない。

 

 

この「記録に残す評価」を、たくさんたくさんとらなくてもいいですよというのが文科省からの話であった。

 

 

先ほどの5×3の表を、1学期をかけて埋めてくださいね。

という感じである。

 

 

 

 

それならいける感じがするのである。

 

 

つまり、単元ごとに、全ての領域や観点の評価をとらないといけないわけではなく、各単元ごとに評価をとる領域や観点をしぼって良いわけである。

 

今回の単元では、「読むこと」と「聞くこと」だけ、記録に残す評価をとろう。

という具合である。

 

そのように進めていって、各マスに少なくとも一つずつは記録に残す評価が入っている状態を、学期をかけて作ればいいのである。

 

 

そして、その「記録に残す評価」をとるのは、基本的には単元の後半だろうと言っていた。

 

そこまでに、Cがついてしまいそうな子には指導を入れてあげて、全員にBがつくようにしてあげるのが教師だろうと。

 

それまでに子ども達の様子をしっかりと見て状態を把握しておくことで、「記録に残す評価」をとるときには、Aをとれそうな子と、Cになってしまう可能性のある子に集中すれば良くなる。

 

 

こうなるとずいぶん心のハードルが下がった気がするのである。

 

 

 

 

③発音について

 

小学校教師が1番恐れているのは、自分の英語の発音についてである。

 

「自分は英語をうまく話せない」という自信のなさが、授業をする上でも心のハードルになっているし、評価する上でも、自分はうまく発音できないのにどうやって評価するんだという不安につながっている。

 

今回セミナーに行って僕は初めて知ったのだが、文科省は、今回の指導要領の間は発音に関する評価規準を出さないことにしている。

 

つまり、発音についての記録に残す評価はしなくて良いということである。

 

「話すこと」の評価も、発音以外の要素でとればいいということである。

 

 

これは現場にとっては朗報である。

 

きちんと伝えてあげることで、多くの教師が安心すると思う。

 

 

 

 

 

最後に

 

以上①〜③で書いたことを聞いて、僕はいけるんじゃないかと少し安心した。

 

学期の中で、少しずつ評価をとればいいんだなと思えたからである。

 

感覚としては、体育に近い感じがした。

各単元で、全ての観点について、ガッツリ記録に残す評価をとっているわけではないからである。

 

単元によって軽重つけながら、少しずつ各観点の評価を埋めていっている。

 

 

 

そして文科省の方が言っていたのは、

「何ができたらAで、何ができたらBになるんですか?と問い合わせがよくあるけど、それは各学校で考えて。」

ということである。

 

今ははじめだから不安になるが、よく考えたら他の教科もそこは各学校で考えていることだし、そんなことまで決められたら逆に窮屈である。

 

ある意味ファジーにしといてくれた方が助かるのである。

 

何が技能で何が表現なのか、ということも難しいが、これも来年度はどの教科でも同じ。

 

学校や学年で話し合って決めれば良い。

 

 

小学校外国語科では、まだ中学校外国語科ようにガンガン子どもに英語を書かせるタイプのペーパーテストはできないので、どのように評価をとるのかは工夫がいるところだが、体育や国語の「話す・聞く」でやってきたことを思い返せば何とかなる気がする。

 

 

 

ポイントとなるのは、少し大変だが、4月の時点で、どの単元でどの観点・領域の評価をとるか考えておくことである。

 

ここで勝負が決まる気がする。

 

ここさえ押さえてスタートすることができれば、これまでの経験を生かして何とかできる気がする。

 

どのような形で評価をとるかは、またtwitter等でもみんなで情報共有ができれば心強いなと思う。

 

 

という感じのことを学んだセミナーでした!